MBAという選択肢
海外で働いてみたいという方にはいろんな選択肢があるかと思いますが、ここでは私が実際に経験したビジネススクール(MBA)への入学を通してビザ(F-1)を得る方法を説明します。
その中でも私は経済、政治、ビジネス、エンターテイメント、さらにはその後の仕事の幅を考えてアメリカという国を選びました。
そこで今回はまず、MBAスクールに入学するためのにはどうしたらいいのか?という基本的な点に関して概要をまとめます。
アメリカのMBAスクールに入学するためには一般的に以下のステップが必要となります。
①学校を選択する
②TOEFLで基準点をクリアする
③GMATで基準点をクリアする
④学部の成績表(英語)を準備する
⑤推薦文を2〜3通準備する
⑥レジュメを準備する
⑦インタビュー対策を行う
それではひとつひとつ順を追って説明していきます。
①学校を選択する
私はアメリカのMBAスクールを調べる際によくFind The Bestというサイトを使いました。このサイトではSmart Rank、Admission Rate、Average GMAT Score、Average Under Grad GPAなどで学校の並び替えができ、自分にあった学校の概要をざっくりと把握できるので便利です。
また、さらに詳しく知りたいという方は下記の本をチェックする事をおすすめします。授業料、入学者の平均年齢、人数、男女比、TOEFL合格基準点、平均GMATスコア、平均GPA、アプリケーションの締切日など出願に必要な情報が全てカバーされています。
さらに、その学校のMBAプログラムの特徴や強みなどもまとまっているため自分に合った学校探しに大いに役立つことでしょう。
The Best 295 Business Schools, 2016 Edition (Graduate School Admissions Guides)
- 作者: Princeton Review
- 出版社/メーカー: Princeton Review
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上記のような方法で自分に合う学校が見つかったら、詳細に関しては必ず各スクールの公式ページにいって調べるようにしてください。このようなステップを繰り返していくつか目標とする学校を選択し、アプリケーションの締め切り日や学費などの情報も含め一覧表にまとめておくと便利です。
学校選択に関してもう一つ。ある程度志望校が絞れてきたら実際に学校に見学に行ってみることも非常におすすめです。キャンパスビジットを実施することで学校だけでなく、その土地の気候や雰囲気を肌で感じることで具体的にその学校でのMBA生活をイメージできるようになります。これがモチベーション維持に果たす役割は絶大で、私も仕事を続けながら何とか時間と費用を捻出しアメリカ西海岸、東海岸の両方で5校ほど訪問しました。
②TOEFL(ibt)で基準点をクリアする
TOEFLとは英語を母国語としない人のアカデミックな環境下での英語力を測るために用いられる試験です。このテストで高得点を取れるということは実際の授業の内容も理解できるということの客観的な証明になるため、MBAに限らずアメリカの学部に入学する際にも必要とされるテストです。内容はリーディングから始まり、リスニング、10分の休憩を挟み、スピーキング、ライティングと続きます。トータルで4時間〜4.5時間かかるテストですので集中力をキープするだけでもしんどいテストですが、繰り返すと段々と慣れてきます。以下TOEFLの概要です。
TOEFLの公式ページより引用
セクション | 内容 | スコア | スコアレベル* | |
Reading 60-80分 |
アカデミックな長文読解問題で構成 ■問題数:3-4パッセージ (各パッセージ約700語、12-14問) ■時 間:60-80分 |
0-30 | High(22-30) Intermediate(15-21) Low(0-14) |
|
Listening 60-90分 |
講義と会話の2種類の問題で構成 ■問題数:講義 4-6題 (1題 3-5分、約500-800語、6問) :会話 2-3題(1題 約3分、5問) ■時 間:60-90分 |
0-30 | High(22-30) Intermediate(15-21) Low(0-14) |
|
休憩10分 | ||||
Speaking 20分 |
2種類の形式、全6問で構成 | 0-30 | Good(26-30) Fair(18-25) Limited(10-17) Weak(0-9) |
|
Independent tasks ■問題数:2問 ■時 間:準備15秒 解答45秒 |
Integrated tasks ■問題数:4問 (1)Read / Listen / Speak 2問 ■時 間: 準備30秒 解答60秒 (2)Listen / Speak 2問 ■時 間: 準備20秒 解答60秒 |
|||
Writing 50分 |
2種類の形式、全2問で構成(タイピングのみの解答) | 0-30 | Good(24-30) Fair(17-23) Limited(1-16) |
|
Integrated Task Read / Listen / Write ■問題数:1問 ■時 間:20分 |
Independent task ■問題数:1問 ■時 間:30分 |
|||
Total | 4-4.5時間 (ListeningとSpeakingの間に10分間の休憩があります) |
0-120 | - |
120点が満点となりますが、アメリカのトップスクールに入ろうと思うのであれば100点というスコアが基準になってきます。バシバシ受けて体を慣らしたいところですが、受験料も年々値上がりしており現在は1回の受験で235ドルかかってしまいますので最小の出費で最短でクリアするにはかなりの計画性が必要になってきます。
このテストは様々なテクニックや論理的思考が必要になってきますので、また別の機会にTOEFL対策法を書きたいと思います。
いきなりテストを受けてももったいないので、まずはテストの内容を知るという意味でも公式対策本を手に入れてどういった内容のテストなのか感覚的に掴んでください。
Official TOEFL iBT® Tests Volume 2 (Official Toefl Ibt Tests)
- 作者: Educational Testing Service
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③GMATで基準点をクリアする
TOEFLが英語を母国語としない人のためのテストであるのに対して、GMATとはネイティブの受験生も受けなければいけないテストです。全部で4つのパートから成りライティング、図解、数学、英語読解と続きます。トータルで3時間半かかりますのでこれまた集中力のいるテストであること、しかもネイティブ向けのテストですので使われる単語も格段に難しくなることから難易度の高いテストとなります。普通にやっていては時間がいくらあっても足りませんのでこれもまた特別なトレーニングと対策が必要になってきます。ちなみにトップスクール入学には700点以上のスコアが必要とされています。
以下GMATの公式ページより引用
GMAT Test Section | # of Questions | Question Types | Timing |
---|---|---|---|
Analytical Writing Assessment | 1 Topic | Analysis of Argument | 30 Minutes |
Integrated Reasoning | 12 Questions | Multi-Source Reasoning Graphics Interpretation Two-Part Analysis Table Analysis |
30 Minutes |
Quantitative | 37 Questions | Data Sufficiency Problem Solving |
75 Minutes |
Verbal | 41 Questions | Reading Comprehension Critical Reasoning Sentence Correction |
75 Minutes |
Total Exam Time | 3hrs, 30 minutes |
現在のGMAT受験料は250ドルですのでTOEFL同様高額なテストです。かつ、1年間で受験できる回数にも5回までと制限があり、かつ一度受験したら16日間は次回のテストを受験することはできませんので出願に合わせて計画性を持って受験することが大切になってきます。
さらに、過去の受験結果も併せて受験校に通知されてしまうため、結果的にどんなにいい点数をとっても過去の低スコアが露呈してしまいますのでこの点にも注意が必要です。
まずはGMATの内容を知るという意味でも、公式対策本を購入しましょう。こちらで出題の内容をまずは体験してみることをおすすめします。前述した通り、日本人にとってはかなり特殊なテストであるためなかなかとっつきにくいですが、しっかりとした対策をすれば必ず結果は出ますので、またその具体的な方法については別途書いていきたいと思います。
The Official Guide for GMAT Review 2017 with Online Question Bank and Exclusive Video
- 作者: GMAC (Graduate Management Admission Council)
- 出版社/メーカー: Wiley
- 発売日: 2016/09/19
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④学部の成績表(英語)を準備する
日本の大学での学部時代の成績証明書が必要となります。この書類は大学に問い合わせればすぐに郵送で送ってもらえますので手に入れてGPA(Graduate Point Average)を計算するようにしましょう。
GPAとは成績評価に関する指標で、通常オールAであれば4.0となりますが、これが低いとアプリケーション審査で不利になってしまいます。計算方法に関してはフルブライトという日米教育委員会のサイトに記載がありますのでこちらを参考にされると良いかと思います。
大学時代に成績優秀であれば気にする必要はありませんが、私は学部時代はMBAなんて考えてもいませんでしたし、実際成績は2点台後半とあまり自慢できるようなものでもありませんでした。そこで何とか3点台まで持っていきたかったのでWorld Education Services(WES)という機関を利用しました。非営利団体であるこのサービスは日本の大学、学部の難易度も考慮した上でGPAの評価を行ってくれます。ですので、大学、学部によっては実際のGPA計算よりも評定が良くなるケースがあります。実際に先に述べた私の2点台後半のGPAも何とか3点台にのせることができホッとしました。私が利用した数年前は160ドルでこのサービスを利用できました(現在の費用は値上がりしている可能性もありますが)。一度評価を受ければアカウント上に記録され、追加費用を払えばいつでも自分がアプリケーションを提出するスクールに直接送付してもらえますので、私は自分の大学から取寄せた英語の成績証明書と共に必ずこのWESのエバリュエーションを送付しました。
類似のサービスとしてはEducational Credential Evaluators(ECE)という機関が提供している評価もあり、私はこちらもあわせて利用しました。
⑤推薦文を2〜3通準備する
自分という人間がその学校にふさわしいかどうかを第三者の目を通して判断してもらうための書類です。学校により必要な数は異なりますが多くても3通あれば十分です。1通でなく複数ということからも分かる通り、視点のバランスが大事になってきますので例えば職場の上司から3通というような一つの視点からの偏ったものでは意味がありません。そういった意味で、私はこの大事な3通を職場の上司、取引先、学部時代の教授にお願いしました。こうすることで、多角的に自分の価値を判断してもらえるバランスの良い推薦文の組合せになるよう工夫しました。
注意点として、大きな会社であれば自分の雇用主である社長や取締役といった立場の方からの推薦文は避けるべきです。一見すると役職が上の人であればあるほどいいように考えがちですが、直接自分を指導する人でない場合、評価が抽象的になり効果が薄れてしまいます。そういった意味で直属の上司や普段やりとりをしている取引先の担当者など、自分自身と濃い付き合いをしている人を選び、自分の強みをより具体的なエピソードで補完できるような人を選ぶように心がけてください。
⑥レジュメを準備する
レジュメ(CV)とは英語の履歴書のことです。自分のこれまでの学歴や職歴を簡潔にかつ効果的に示す材料として使われます。あまり長くなりすぎると読んでいるアドミッション(入学審査官)担当も辛いので、私はWord 1ページに納めるように作成しました。この1枚のペーパーが自分のこれまでの経験を最大限効果的に表現できるようにしっかりと準備しましょう。
特に決まったフォーマットなどはありませんので自由に記載して構いませんが、私はなるべくアドミッションの目を引くように色使いやデザインにもこだわりました。中身の記載の方法に関して参考にした本はこの後の⑦インタビュー対策を行うで紹介しておりますのでご確認ください。
とにかくレジュメに関しては、Market yourselfの精神で自分を売り込む最高のセールスレターに仕上げてください。私はこれまでの経験を棚卸しするために、自分の人生を振り返る何十ページにも及ぶペーパーを一旦作り、そこから1ページに凝縮するという作業をしてドラフトを作成しました。
⑦インタビュー対策を行う
学校側のアドミッション担当者が受験者の人となりをみるために多くのスクールで面接が実施されます。非常に重要なプロセスであり、直接自分を売込む絶好の機会になります。ある程度お決まりの質問は事前に様々な想定問答を準備して自信を持って挑みましょう!このインタビューが合格前の最後のステップです。悔いが残らぬよう精一杯自分を出し切ってください。
ちなみに私は先に述べたレジュメと面接の準備に関しては以下の本を特に活用しました。過去に実際に提出されたレジュメや本番の面接で出題された質問が学校別に掲載されており、実践的に準備をするのに非常に役に立ちますので必読の一冊です。その他MBA受験に必要な情報が体系的に整理されてありますので基礎的な情報を得るためには欠かせない一冊でしょう。
日本人のためのMBAエッセイ インタビュー キャリア対策 第2版
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レジュメを仕上げ、インタビューでの想定問答ができたら、ネイティブスピーカーとできるだけ多くの回数の模擬インタビューをこなすことも自信をつける上で大切です。
近くにそういった知り合いがいないということであれば、オンラインの英会話授業を使い、相手に事前に作成した想定問答集を使って質問してもらい自信がつくまで繰り返し練習しましょう。
私は仕事のため帰宅時間も遅く、英会話に通う時間もお金もありませんでしたので、手軽だという理由でレアジョブを使いました。講師は皆フィリピン人ですが、中には非常に綺麗な発音をする人もいて、色々とアドバイスをしてくれる熱心な講師もいます。自分の好きな時間に実施できるので業務などで忙しく時間が不規則な方にはおすすめです。
以上が基本的なMBAに向けての準備となります。
無事に合格を手にしたら、大学院からI-20という学生ビザ(F-1)の申請に必要な書類が送られてきますのでこれを使ってビザの手続き、面接を経て晴れて堂々とアメリカ入国です。
いかがでしたでしょうか?
思ったより大変そうだと思われた方も多いと思います。実際に私の周りでもMBAを目指したものの準備が大変で挫折したという人がたくさんいます。しかし、計画性を持って根気よくやれば誰でも必ず合格は手に入ります。
入学してからはこれ以上に大変な事が待っていますし、その分実りの多い学校生活が待っています。MBAはお金も時間も費やしますが卒業する時にはあなたも必ずやこの苦労をした甲斐があったと思う事でしょう。
この情報が少しでも多くの方の参考になれば幸いです。
ブログ始めました
このブログでは遅ればせながら長年の目標であったアメリカでの生活を30歳にしてようやく実現した私の生活を書いていこうと思います。
同じように海外生活にチャレンジしたいけれどなかなか踏み出せないという方の何かの役に立てれば良いかと思っています。
それでは応援よろしくお願いいたします!
〜Profile〜
1984年(0歳)福岡県の田舎の家庭の次男坊として命を授かる
・・・・省略・・・・
2003年(18歳) 高校を卒業と同時に関西にある私立大学に進学
2006年(21歳)大学を1年間休学しての初の海外生活をカナダのバンクーバーで過ごす
2008年(23歳)広告代理店に入社、サラリーマン生活スタート
2014年(29歳)会社を退職、ビジネススクールでの就学のためサンディエゴに渡米